噴火情報:南硫黄島近海で海底噴火
ここに新島が出来ても、排他的経済水域は増えません。残念!!
2007/04/25 08:50
南硫黄島近海で海底噴火か 船舶に警戒呼び掛け
23日午前10時ごろ、小笠原諸島・南硫黄島(硫黄島の南約60キロ)付近で海面が変
色し、噴煙が上がっているのを高知県の漁船が発見、第3管区海上保安本部(横浜)に届
けた。3管の航空機が同日午後、海面の変色を確認した。
気象庁は海底火山「福徳岡ノ場」が噴火した可能性が高いとみて調べている。海上保安庁は航行警報を出し、付近の船舶に警戒を呼び掛けた。3管などによると、北緯24度15分、東経141度30分付近で、海面が5、6キロにわたり変色しているという。
気象庁によると、福徳岡ノ場近海では、たびたび噴火に伴うとみられる海面の変色が観測
されている。昭和61年の噴火では直径約600メートル、高さ約15メートルの新島が
できたが、間もなく海水の浸食で消滅している。
(産経新聞 2007/4/24)
南硫黄島という名前ですから小笠原諸島、細かく言えば火山列島にあるのが判ります。記事にもある通り、太平洋戦争の激戦地となった硫黄島からは南に60km程離れています。標高は916mで、伊豆諸島・小笠原諸島の中では最高峰となっています。
火山列島は小笠原諸島に含まれていますが、海底地形としては、小笠原海嶺とは別の海山列に属しています。また、小笠原の父島列島、母島列島、聟島列島が第四期の火山活動が無いのに対し、火山列島は、極めて活発です。その点では、富士山へと延々1,000km以上も続く伊豆・小笠原火山帯の直系はこちらと言えそうです。
今回海底噴火を起こした南硫黄島沖5kmの福徳岡ノ場は、その中でも活動が活発で、実は1993年から毎年、海水の変色が観測されています。
1904年、1914年、1986年には新島が形成されましたが、比較的短期間で海食により消滅してしまっています。福徳岡ノ場に噴火で新島が形成されると「新硫黄島」と言う名前になる事が決まっています。
鉛筆の芯の様にとがっているのが南硫黄島です。福徳岡ノ場は、その右上にある少し盛り上がった頂上が平坦な地形です。頂上の水深は僅か15mです。南硫黄島からは北東に5km離れています。北にある平坦な高まりは活火山である北福徳堆(海勢場)で頂上の水深は73mです。ここも1988年に海底噴火を起こしています。
北福徳堆と南硫黄島を含む外輪山の中に、福徳岡ノ場を中央火口丘とするもう一つのカルデラがある直径30km以上の二重カルデラを形成している大火山と言えそうです。カルデラの大きさだけから言えば阿蘇山と同じ規模ですが、海底数千㍍から立ち上がっているので、遥かに規模は大きいと言えるでしょう。
新島が今後形成されても南硫黄島の北東5kmの場所ですから、既存の領海の中にあります。その為、新島が出来ても新しく排他的経済水域が広がると言う事は、なさそうなのが残念ですね。
注)福徳岡ノ場とか北福徳推とか福徳と言う名前がついていますが、これは、これらの海底地形を発見した漁師の船名にちなんで付けられています。海底からの上昇水流により、プランクトンが豊富になるので、こういう海底火山は好漁場となるケースが多い様です。
環球閑話時事の徒然 IZA見参
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