2017年9月19日火曜日
ドクロ顔のハリケーン「マリア」
ドクロ顔のハリケーン「マリア」が刻む無慈悲な進路。
そして何もかも変わろうとしている地球がそこに浮かび上がる
2017/09/19
アメリカとカリブ海の地域は、「ハービー」と「イルマ」のふたつの大きなハリケーンの被害を受けた直後ですが、
見た目でいえば「本命」らしきハリケーンが、同じようなルートに乗ってきました。
現在、最高勢力のカテゴリー5にまで勢力を強めたそのハリケーンの名前は、「マリア (Maria)」。
スペイン語圏内での聖母マリアと同じ綴りのハリケーンです。
そして、そのハリケーン・マリアの衛星からの赤外線画像は下のようなものでした。
ハリケーン「マリア」 2017年9月18日
・ “Maria” is approaching the islands of Martinique and Dominica
天候の極端な様変わりを地球の人々に知らしめたこの夏
上のハリケーン・マリアの顔を見まして、「また、ドクロかよ」と思わず呟きつつも、
それにしても、よくぞこのような形が「偶然」作られたものだと自然の行いに感心します。
拡大しますと下のようなお顔です。
ちなみに、この「マリア」は、このドクロ顔の時点の 9月18日まではカテゴリー3のハリケーンだったのですが、
日本時間で 9月19日の午前に、最高勢力の「カテゴリー5」となりました。
トランプ大統領は勢力の上昇を受けて、同日、カリブ海のプエルトリコ(アメリカの自治領)とバージン諸島に非常事態宣言を発令しました。
9月19日の米国ニューズウィークより
つい「様」をつけてしまう「マリア」ですが、
これは、カリブ海などに壊滅的な被害をもたらしたハリケーン・イルマとコースがかなり重なっていまして、
場所によっては、マリアの被害の度合いにより「どうにもならなくなる」国や地域も出てくるかもしれません。
先ほどの「ドクロ顔のマリア」に島のラインが白く入っていますが、地図と照らし合わせて、
島の名前を入れますと次のようになります。
ここに示されている地域は、昨日すでにマリアの影響を受けていたと思われます。
ただ、これらの場所というのは、少なくとも私を含めて日本人にはあまり馴染みのない場所ですので、
地図で場所を示しておきますと下のようになります。
たとえば、地図の右上に「アンティグア・バーブーダ」という国の名前がありますが、ここは「イルマ」の後どうなったか。
実はこの島のひとつが 300年前の建国以来初めて「人がいなくなった」のです。
下は CNN の報道からの抜粋です。
ハリケーン直撃のバーブーダ島、無人に 300年で初
CNN 2017/09/16
ハリケーン「イルマ」の直撃を受けたカリブ海の島国アンティグア・バーブーダのロナルド・サンダース駐米大使は16日までに、
この300年で初めて同国バーブーダ島から住民が全員避難し、1人もいなくなったことを明らかにした。
バーブーダ島はイルマにより生活手段が破壊され、居住不可能な状態になっていた。
駐米大使は米ラジオ局の国際公共放送の取材に対し、「あの島で約300年にわたり存在してきた文明は今や消滅した」と述べた。
このようなことになったのでした。
> 「あの島で約300年にわたり存在してきた文明は今や消滅した」
という言葉はかなり重い響きでもあります。
アンティグア・バーブーダの人口は 9万5000人ほどで、小さな国ですが、
「この地球のどこかで 300年間なかったことが起きた」
ということの意味は小さくはなさそうです。
バーブーダ島はこれから再建が始まるのだろうとは思いますが、そこにまたマリアの影響がどのようになったのかと。
今現在のハリケーンの状況はとても「無慈悲」な感じで、たとえば、ハリケーン・マリアの予想進路図を見ますと下のようになっていまして、カリブ海に関しては、イルマの時とそう変わりません。
つまり、「カテゴリー5のハリケーンが続けざまにやってくる」のです。
アメリカ本土が影響を受けるかどうかは今のところ予測は出ていません。
さらに無慈悲な感じがするのは、この他に
「ふたつのハリケーンがひとつに合体するかもしれない」
という懸念もないではないのです。
9月18日の英国エクスブレスの記事
・express.co.uk
現在、カリブ海周辺では、下のように「マリア」と「ホセ」のふたつのハリケーンと、「リー」という熱帯暴風雨が存在していて、
場合よってはこれらが重なるかもしれないと言われているのです。
2017年9月18日の3つの暴風雨
・express.co.uk
今の時点ではそのようなことにはなっていませんが、この「リー」というのがハリケーンになったり、ホセが停滞したりすれば、
いろいろな可能性があるのかもしれません。
ただ、ハリケーンにしても台風にしても、実は「陸地に上陸すればそれで勢力が落ちる」のですから、実際には、上陸すれば先行きは明るいのです。問題は上陸しないで延々と海上にいる場合です。その場合、強い雨などの影響が長く続く場合があり、むしろ洪水などの被害が拡大する場合があります。
それも「以前では考えられなかった複雑な動き」等が伴ってきますと、天候の予測すら難しくなります。
たとえば、昨年 2016年8月には、日本で
「3つの台風が太平洋上でずっと停滞し、日本はムチャクチャな気候になった」
ことをご記憶でしょうか。
これは、私自身が昨年の 8月21日に北海道に帰省していた際、帰りに「空港で足止めされる」という事態に直面しまして、
こちらの記事にそのことを書いていますが、そのこともあり、大変よくおぼえています。
下は昨年のその時の台風の動きです。もうムチャクチャですが、
台風 9号、台風 10号、台風 11号の3つの台風が共にカオス的な動きを長く続けました。
とにかく、「いろいろと変わってきている」ということは言えそうです。
今後の地球で同じようなハリケーンや台風が毎年何度も今のようなルートで発生して襲ってきた場合、
「無人となった」アンティグア・バーブーダの島ような例が増え、地域によっては存続の問題と結びつくのかもしれません。
そういえば、「今までと違う」という意味では、昨日まで日本を縦断していた台風 18号も史上初めての動きをしていました。下は今日の報道です。
台風18号、本土4島すべてに上陸 史上初
日本経済新聞 2017/09/19
3連休に日本列島を縦断した台風18号が、記録の残る1951年以降で初めて、
日本の本土4島(九州、四国、本州、北海道)全てに上陸した台風となったことが19日、気象庁への取材で分かった。
勢力を維持しながら5回にわたって上陸を繰り返し、各地に被害をもたらした。
ということで、過去66年で、九州から北海道までを駆けぬけた初めての台風となったのでした。
「いろいろと変わってきた」という意味では、過去記事、
・瞬間最大風速200メートルの台風やハリケーンが現実化する?… 2015/10/26
というものの現実味がさらに増している感じもいたします。
それにしましても、今回のハリケーン・マリアの「お顔」を見まして、いろいろと思うところはあるにしても、過去記事、
・ドクロに囲まれた地球 – 2017年の夏は地獄か天国か
2017/07/16
のタイトルを思い出します。
「目に見えるドクロ」は、2〜3年前から増え始めていますが、
改めて、記事などで取りあげた「自然の中のドクロ」を振り返って今回は締めたいと思います。
地球は少しずつ迫力のある時代に突入しています。
そして、それを実感させる出来事はもう少し増える気がします。
In Deep
http://indeep.jp/hurricane-maria-with-skull-face-may-suggest-apocalypse-now/
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